テニアン旅行記(2002.6.8-11

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=目次=

大阪・道頓堀編

サイパン編

テニアン編

金環日食編

~テニアン編~

朝がきた。なにもすることがないので、とりあえずビーチへ。

今日はバナナボートやってるみたい。何人か泳いでる。

午前中はまだ涼しいからなんだろうね、きっと。

 

朝・昼はなに食ったか、覚えてない。きっと適当に食べたに違いない。

 

テニアン島へ移動するため、空港へ向かう。

 

手続きをしていると、P-2は重たいから追加料金払え、と言われた。
まあ、
P-2置いていくわけにもいかないので、いたしかたない。
あとで割り勘にしましょ、ということで、出発時間を待つ。

出発時間になった。滑走路に行くと、セスナ。

 

おー!セスナはじめてだよー。ワクワク。

 

あんたはここね。操縦席の横。あんたたちは重そうだから、
後席の右と左に分かれて。的確に指示される。
そうか。機体がちいさいからバランス取るの重要なんだな。きっと。

 

みんなが席についてシートベルト着けると、飛行機がおもむろに動き出す。

 

いやいや、操縦席のところの窓が開いてパタパタ言ってるんですけど、閉めなくてもいいのか?

滑走路に入って、加速してる最中に、パタンと閉める。ふむ。そういうもんなのか。

 

セスナは離陸するやいなや、えらい上昇率で空に昇っていく。

おー!テニアン島が見えた。前の窓から見えるから、視界が広い。なんかすごいね。

あっという間に、テニアン島の上空。

空港どこだろ?あ、すぐ下の方に見える。あそこか?でも、ずいぶん真下っぽいぞ。やな予感。。。

 

 

セスナは左旋回しつつ降下に入る。

ギューーーン。

やっぱり。。。ジェットコースター並みに、落ちていく。地面がみるみる迫る感じ。大丈夫かいな?

普通に引き起こして、着陸態勢に入る。やっぱ小型機ってそういうもんなんだ。なかなかこえーな。

 

着陸して減速がはじまるやいなや、パイロットはふたたび窓を開ける。

確かにあちぃけど、そこまで焦って開けんでも、と思ったが、口には出さず。

 

滑走路に降り立ち、空港のビルっつーか、建物へ。

建物を出て、レンタカー屋に向かう。
今夜の宿は取ってないし、観測地まで移動せんといかんからね。

 

ハーツだったか。エイビスだったか、忘れたけど、クルマはたしかニッサンだったような。
昔乗ってた
9101600GLと同じようなメーターだった覚えがある。

 

運転は私がすることになった。
運転席に座ってシートを合わせて、シートベルトを締めるや、いなや、

後ろの席から、シュポッと音が。。。

 

振り返ると、堀川さんと橋本さんが缶ビールのフタを開けていた。満面の笑みだ。

ホントに好きなんだなぁ。さて、出発。

 

まずは、テニアン島にある唯一のまともなホテルへ向かう。
佐賀から来てる友人たちが泊ってるから。

 

到着。おー。でっかいホテル。とうぜんプール付。

おーー!ロビーの冷房が効いてるわ。すごいね!

・・・ま、あたりまえっちゃあたりまえですが。。。

 

フロントに行って、呼び出し。

草野さんがでてきて、ホテルとか観望予定会場を案内してくれる。

さすがに至れり尽くせりですな。

私らの弾丸ビンボー個人旅行とは比べるべくもなし。笑。

 

 

さて、次は自分たちの観望予定地。

スーサイドクリフ、通称、バンザイクリフへ向かう。

 

単語がわかるひとにはわかると思うけど、太平洋戦争でたくさんの方たちが
身投げしたのが、地名の由来です。金環日食帯がここを通るからねぇ。
こればっかりはどうしようもない。

 

まずは、慰霊碑に手を合わせて、過去のかなしい出来事に想いをはせる。
戦争なんかない世の中になりますように。

 

 

 

だいたいこの辺で観望すればいいかねぇ?そうっスね。

アバウトに場所を決めたところで、島内観光へ。

 

海岸線に出ると、なんとか言う軍艦が沈んでいるところ、みたいな看板があった。
二つに折れて轟沈したんだろうか。(たぶん)船尾が海上にでてる。

 

次は旧日本軍の司令部かな?さびれたコンクリート造りの建物だ。
絡まるツタに、時の流れを感じるなぁ。

 

道端に、ちっちゃな石造りのモニュメント。昔の文化のなごりだろうか。

 

細い道を下って、ビーチに出る。

 

白い砂浜と、遠くで砕ける白い波。手前は澄んだエメラルドグリーンの海。南の島だな。

 

水平線遠くに浮かぶ雲はずっと連なっている。予報通りだな。
あれは積乱雲か。ところどころにニョキっとした雲が見える。頼むから、こっち来るなよ。。。

 

 

「この砂浜に点々とついてる跡はなんかわかりますか?」と橋本さん。

「え?なんすか?」

「これはウミガメの足跡です~!産卵するときに上がってくるとですよ」

「おー!そうなんだ。すげー!」

このビーチはポカリスエットのCM撮影にも使われたらしい。
確かにきれいな砂浜だ。

 

 

次は潮が吹き上げるという海岸へ向かって、細い道を走る。

 

クルマ一台もすれ違わないな。車線もないから油断してると正面衝突だな。
伸び放題の背の高い草ギリギリに寄せてギュンギュン走ってたら、
山本さんから「端に寄りすぎじゃ?」との声。
いいんです。旅先で事故に合う危険はできるだけ低いに越したことはないんですよ。

 

途中に「地雷原だから入るな」っつー看板がある。至るところに、戦争の傷跡があるんだな。

 

その次は、昔の滑走路。つまり、戦争末期に、B-29が飛び立ったところね。
長崎人としては、やっぱり訪れておかないとね。

 

いやあ、広大な滑走路だな。もう使われてないのか。

・・・。

・・・。

 

「滑走路といえば、やっぱGメン(75)でしょ?」とおれ。

「やりますか!」と橋本さん。

 

 

みんなニヤニヤしながら、滑走路に並ぶ。

すこし離れたところにビデオカメラをセットして、スタート。

 

チャ~ラ チャララ~ チャララ~タタララン

みんなでくちずさみながら、カメラへ向かって歩く。

 

 

なにやってんだか。。。いいんです。思いついたらすぐ行動っス!

 

 

一通り、爆笑したところで、原爆関係の遺構へ。

 

ここでも手を合わせて、バカな過ちを繰り返さないことを誓う。

 

 

・・・ま、バカはやってますけどね。。。

 

 

ひとしきり観光が終わったところで、さきほどのホテルへ戻る。

草野さんと夕食を一緒に食べましょう、と約束していたからだ。

われわれの貧乏旅行とは思えぬ、夕食をいただくことができました。おいしかったです。

 

途中、Mさんがやってきて、「皆既(日食)は、金環の何倍もいい」と親切に教えてくれる。
いやいやいや、われわれは、この金環日食がはじめての日食遠征なんですってば。
実際、そうなんでしょうけどねぇ。と心の中でつぶやく。ちょっと外に漏れてたかもしれんが。

 

 

さて、他にすることもないし、観望予定地へ向かうことにした。

(買い出しの記憶はないが、たぶんどっかに寄ってしたんだろう)

 

 

向かってる途中で、すごい雨が降ってきた!土砂降り。ワイパー全開で前が見えん。。。

これって台風の前触れの雲かしら?やべーな。

 

ようやくスーサイドクリフの駐車場に着いた。

土砂降りの中、海に向かってクルマを停めた。

ああ。このクルマ、エンジン切らないとライトが消せないんだ。めんどくさいな。

 

まだ結構降ってるけど、さっきより少し雨が弱くなってきたかな?

後ろの席から堀川さんがつぶやく。

「あの雲、じゃまですよね~。さっきからあるんですけど」

 

へ?確かに、ワイパーの向こうになんか見える。

 

えーーーーっ!!!

 

「堀川さん、ちがうちがう。あれ、天の川っスよ!」

「え?あ、ホントだ!」

「うそ?」

「あらぁ」

 

そりゃフロントガラスに雨がバシバシ打ち付ける中、ワイパー越しに
天の川が見えるなんて、誰も思わんよな。

 

 

雨があがった。

降り出したときとおんなじ。唐突にピタッと止んだ。

あ。スコールだったんだ。

 

フロリダのディズニーワールドで午後のだいたい決まった時間に毎日
スコール降ってたのを思い出した。んじゃ、台風関係ないな。

 

クルマから降りる。

 

真っ暗闇の海のかなたには、ドーーーーーーンとした夏の天の川。

水平線から立ち上がっている。

 

すげーっ!こんなぶっといの、はじめてみた。

雲と言われたら確かに雲。

「アンタレス辺りまで延びてる感じですよね。」と堀川さん

「うんうん。すごいですねぇ。はぁ~。」言葉にならぬ感動。

これだけでも、やってきたかいがあるってもんだな。

 

さて、そろそろジャンケンしますかね?

 

ジャン ケーン ポイ!

 

よし、勝った!(^^)

 

二人は外で寝てもらい、二人はクルマのシートを倒して寝ます。

野宿ですからね。

 

クルマのシートでくつろぎながら、天の川を眺められるなんて、サイコーやね。

 

明日の朝は金環日食だよー。はじめて観るなぁ。どんなんだろ?

・・・いつしか眠りに落ちる。

 

・・・

・・・

・・・

 

「うわーっ!」と誰かの声で眼が覚める。

クルマから降りて、「どうしました?」と声かける。

「これ!」

 

ヤシガニだ!でっかいなぁ。でっかいヤドカリみたい。ハサミも巨大。

ひょえー。耳とか挟まれてたらシャレにならん。

 

朝までもうちょいあるな。

とりあえず車外の二人に後席で寝てもらうことにして、うつらうつら。

 

とは言うものの、眠り浅いなぁ。徐々に緊張してきてるのがわかる。

 

向こうから一台クルマが上がってきた。ライトの光跡がくっきり見える。
気が付くとあたりは一面霧がかかってるみたいだ。

止まった。

 

「止まるなら、ライト消せばいいのに!」

「いやいや、こっちのクルマ、ライト消せないみたいですよ」

「あ。そうなんだ」

 

なんか、未知との遭遇みたいだった。チャラリララ~

 

ライトが消えた。エンジン切ったんだろうな。

 

霧か。湿度が高いからだろうかね。クルマもじっとり濡れている。
窓開けて寝てたから、洋服もなんとなくシットリ。
朝には晴れてくれるといいけどなぁ。

(金環日食編につづく)

 

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