Celestron Nexstar5 使い方 〜運用編〜

目次

運用編 [ INDEX ]

アライメントについて [ INDEX ]

 Nexstar5は天体の自動導入を容易に行うことのできる天体望遠鏡です。しかし、GPS(カーナビで利用されています)等の機能を持っていませんので、自動導入を行うためには、最初にいくつかの設定を行って、現在の自分の位置を望遠鏡に教えてあげなければいけません。これを「アライメント(Alignment)」といいます。といっても全然難しいことはありません。ただ、ここにあげるようないくつかのコツをあらかじめ知っておけば、さらに容易になると思います。すべてのやり方をすぐにマスターすることはないと思いますが、ケース・バイ・ケースで選択できるようになればとても便利なことでしょう。実際のアライメントの方法はマニュアルに記載されているので、そちらを併読していただくのが良いと思います。

Nexstar5の自動導入精度について [ INDEX ]

 Nexstar5は適切なアライメントを行った後ならば、私の短い経験からしても、ほとんどの場合そのターゲットを視野に収めることができます(標準アイピース25mmだけでなく、10.5mmでも同じ!)。もしうまく導入できないと感じた時は、アライメントをやり直してみると良いかもしれません。そういう時に役立つ点をアライメントのポイントとしてまとめてみました。

ガイドスター(基準星)について [ INDEX ]

 Nexstar5のアライメントは、夜空に輝く明るい星を利用して行います。私はこれらの星をガイドスターと呼んでいます。(正式な名称は何か知りません。(^^;)ガイドスターは都市部でも見ることができるくらい明るい星々で構成されているので、晴れてさえいれば、どなたでもきっと見つけることができます。私は以前横浜に済んでいましたが、これらの星は見ることができました。これらの星さえ見つけるのが難しいような明るい場所ではかなり観測がしづらいはずですので、車を持っている誰かを誘って移動した方が良いと思います。大体の人は最初の1〜2回ぐらいはうまく誘えば一緒に出かけてくれると思います。その後は、観望の出来しだいですが....

 ガイドスターは、日本語マニュアルでは名前だけなので、初心者にとっては難しい話です。きっと私と同じように「うーん、どれじゃ?」と思うのではないでしょうか。その点、英語のマニュアルでは星図が付録についており、図中に下線で示されていますから、すぐに分かります。PCでこれをお読みの方は、米セレストロンのページから、英語のPDFマニュアルをダウンロードできますから、そちらを利用してみてはどうでしょうか。私はこちらを利用しました。

 各月の空のガイドスターを図示してみましたので、必要な方は「いろいろな星空」をごらんください。

Auto-Align [ INDEX ]

 星の名前を知らなくても、アライメントを行うことができる方法です。というのは、北の方向と水平さえちゃんと教えてあげれば、ガイドスターの大体の位置へNexstar5が自動で向いてくれるからです。北の方角ですが、もちろん北極星を見つけることや、方位磁石を使うことで簡単に分かります。どちらもすぐにできない方(曇っていれば北極星は見えませんし、方位磁石は小学生の頃にしか使った覚えがないですよね。)は、お昼に日が差しているのと反対の方向はどっちかお母さん(あるいは奥さん)に聞くか、寝る時に「北枕」になっていないか、おじいちゃんやおばあちゃんに注意されたことがないか、思い出してみるのもよいでしょう...というのは、まあ半分冗談ですが、晴れている時は北極星ぐらいは見つけられた方がかっこ良いので「いろいろな星空 - 北極星の見つけ方」を見てください。

 私の場合、到着してしばらく曇天が続いたので、北極星によるセッテイングはできませんでした。が、北枕を気にしていたのと「鬼門はどこだ?」を気にしていたため「北向きはどっちだ?」ぐらいは把握していたので、大体の方向は分かったので良しとしました。その内、「遠征時の曇天対策」としてコンパス(\980)を買ってきたのは言うまでもありません。

 また、買ったばかりのころにありがちなのですが、空が一面の雲に覆われていても、すこしでも雲間から星が見えるようだったら、見てみたくなりますよね。(私だけか?) こういうときは、星座全体を見ることができず、私のようなビギナーではガイドスターの名称を特定することができないため、「Auto-Align」が役に立ちます。すなわち、ガイドスターぐらい明るい星の名前をNexstar5に特定してもらうやり方と、Nexstar5と自分の北を信じて何も調整せずにアライメントを終えるやり方です。

 前者(星の名前をNexstar5に特定してもらうやり方)は、Slewingする前に大体の目星をつけておいて、その名前が出てくるまでキャンセルしつづけることで実行します。たとえば、「たぶんあの明るい星はオリオン座だろう。ということは”ベテルギュース”か、”リゲル”だろう。頼むぞーっ、Nexstar5!」といいながら、そっちを向いてくれるのを気長に待つ方法です。今ごろ(冬)ならば、東〜南の空でオリオン座が特定できれば、”プロキオン”、”シリウス”、”カペラ”、”アルデバラン”、”カストル”、”ポルックス”は多少の慣れにより「大体こっち」ぐらいまでは推定できるので、何とかなります。北の空ならば、”ポラリス”、”ナビ”、”ドゥーベ”、”ミザール”で同様ですね。

 後者(Nexstar5と自分の北を信じるやり方)は、まったくセンタリングを行わず、Nexstar5が向いた方向を「良し。大体それでいいよ。」といいながら、進みます。大体の方向さえあっていれば勝手に追尾してくれるので、晴れ間が消える間ぐらいは追尾できると思います。

 もちろん、可能であれば、きちんとセンタリングを行って、アライメントするに越したことはありません。自動導入の精度が低い状態でNexstar5を利用するのは、とても可哀想な使い方だと思います。この状態で使いつづけると、すぐに押入れの中の置物と化してしまうので、アライメントの仕方を覚えてください。

Two-Star−Align [ INDEX ]

 星の名前をいくつか覚えた(あるいはすでにご存知の)方のために、その内の任意の二つのガイドスターを選んでアライメントを行うことができる方法です。この場合も水平を教えてあげる必要がありますので、お忘れなく。私は前述のコンパス(\980)に加えて、水準器(\480)、時計(\1980)を持っていっています。「何もそこまで」と言う方もいらっしゃいますが、多大な出費を容認してくれた奥さんに、少しでも”プロフェッショナル”な印象を与えるとともに、スムーズな導入での観望を楽しんでほしいからです。(そういうわけで”ポケットマネー”で購入...) もちろん独身あるいは一人で出かけられる方はその必要はないので、あくまでも必要に応じて購入するのが良いと思います。なお、惑星を見る場合は独身の方でも時計は必須ですので、お忘れなく。

Third-Star-Align [ INDEX ]

 マニュアル(日本語、英語ともに)ではガイドスターが見えなくなった時に再度ガイドスターを設定する方法として示されていますが、私は導入精度を上げるためにこの方法を利用しています。というのは、Nexstar5には機械的な部分(ギアの遊びやモータの読み取り誤差など)もあるため、一度のアライメントでは誤差が表面に出てくることが多いためです。

 誤差の確認はすぐにできます。アライメントを終えたばかりのNexstar5に今設定した(向いている)ガイドスターを導入するように指示してみましょう。すると、視野には入っているものの、先ほど合わせたはずのガイドスターが視野の中央からずれている様子が見えるはずです。こういうときには、このThird-Star-Alignmentで再度ガイドスターをセンタリングして、このガイドスターだけアライメントをやり直しましょう。こうしていくことで、自分が設定した二つのガイドスターが適切なものであったか、誤差が容認できる範囲か、確認を行うことができます。このちょっとした手間を行うだけで、あなたのNexstar5はビシッビシッとセンタリングするスーパー望遠鏡になってくれます。

アライメントのポイント [ INDEX ]

  • (マニュアルより)ガイドスターは東の空の星を選択した方が良い。天頂付近は横方向のモーターが非常に微妙に動作して追尾を行うため、読み取り誤差が大きくでてくるからだと思われます。ガイドスターは低めの高度の星にした方が角度あたりに動く範囲が大きくなるため、その誤差が小さくなると思われます。一旦アライメントした後では、天頂付近の対象もきちんと追尾しますので、ご心配なく。
  • (MLより)Auto-Align時に打ち込む時間は、実際の時間+3分の方が良い。これは、Auto-Align中は内部時計が刻まれないことによる誤差をなくすためです。これにより惑星導入精度が高まることが予測できます。Two-Star-Align時は、Planet選択時点で尋ねられるので、その時は正確な時間を入れれば良いと思います。
  • (経験より)センタリングの最終合わせは、上方向+右方向で。Nexstar5が導入する際の動作を見ていると分かるのですが、最終的には上+右で導入してくれます。よって、同じ向きでセンタリングした方がアライメント時の読み出しとNexstar5の読み出し値が一致しやすいと思われるからです。行きすぎた場合は、一旦左下にガイドスターを持っていって、再度センタリングした方が良い結果となるようです。
  • (経験より)Third-Star-Alignを有効に活用して、導入精度をアップすること。理由はThird-Star-Alignの項を参照のこと。
  • (MLより)鏡筒の水平とともに、ベース(台座)の水平も導入精度に大きく影響する。毎回、導入制度が変わる方(私も...(^^;)は、これに注意した方が良いでしょう。(2000.03.04追加
  • (MLより)例えば、東の空のガイドスターで合わせた後、西の空を見るときの精度が気になる場合は、西の空のガイドスターでThird-Star-Alignmentすると、精度が良くなる。おそらくガイドスターからの見かけ上の距離が大きくなるとそれだけ誤差が蓄積されて大きくなると言うことだと思われます。

 以上で、運用編は終わりです。ここまでで通常の観望に必要なことは大体記述したつもりなのですが、さらに深いことを必要な方は応用編に進んでください。


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