『BOX-DOB 1580』製作記

Crazy Binoculars(双眼狂)所属




「ten.@nagasaki」と申します。この度わたくしは、
                  (ボックスドブ イチゴーハチゼロ)
箱形収納ドブソニアン式望遠鏡「BOX−DOB1580」(15cmF8反射望遠鏡)をつくりました。

「BOX−DOB1580」の製作上のコンセプトは....

●コンパクトで、箱形にまとまる。                
●必要な材料のほとんどがホームセンターで入手できる。
●光学系以外の費用が安価である。             

                  ということです。

「作ろう!!」と思ったきっかけは....

長崎港から船で南下したところに「伊王島」(長崎県西彼杵郡伊王島町)と言う島があります。
その伊王島で星空観望会を開催することとなりました。(2002年6月頃に委嘱、10月に開催決定。)


「馬込教会」より長崎港を望む。 130年余りの歴史をもち、九州で最初の灯台「伊王島灯台」より五島灘を望む。

かくいう私、ふだんの観望は双眼鏡ばかりで、望遠鏡なる物を持ちません。(T.T)
借りていくにしても問題になるのは「定期船」です。車では乗船できず、三脚と架台を
伴った大きな望遠鏡では持ち運びに不便な上、持ち込みの料金がかかります。   

結論。

1.そこそこの口径を持った望遠鏡を....
2.できるだけコンパクトに....      
3.安価に....     「作ろう!!」....と。
4.やっと望遠鏡所有者になれる!? 



  1.そこそこの口径。

  ・10cmクラスの屈折望遠鏡では接眼部が低くなるので長い三脚が必要になるのでボツ。         
  ・かと言って、10cmの口径ではなんか物足らない気分だし....                          
  ・20cmクラスの反射望遠鏡では大きく重くなりそう....主斜鏡の値段も高額になりそうだし....。       
  ・「と、なると15cmの反射かぁ〜。」焦点距離を短くすると背が低くなって天体導入の際に探しづらそう....
  ・笠井トレーディングの広告に「15cmF8主斜鏡セットで¥16,800−」発見!こいつは安いぞ。     
  ・斜鏡の掩蔽率も低く(20.6%)よく見えそうだなぁ〜                               

   「こいつで行こう!!」光学系は「15cmF8」に決定〜〜

   2.できるだけコンパクト。

  ・焦点距離は1200mm。不動点を低くすると低空の天体を観望するときには腕立て伏せが必要になる。(^^;
  ・耳軸の位置はできるだけ高い位置に。しかし、天頂付近を観望するときには150cm以下にしたいなぁ〜   
  ・鏡筒を箱形のトラスタイプにすると、収納時の鏡筒の中間の長さの分だけコンパクトになりそう。         
  ・んじゃ、いっそのことトップリングをできるだけ薄くして、収納時にミラーボックスに格納できないか??     
  ・ミラーボックスはロッカー(経緯台部分)に納めることはできないかなぁ〜??                    

   「持ち運びの際は、箱形のロッカー+ミラーボックス一体型で、トラスを別に持つくらいにする!!」
    (ミラーボックスの中に接眼レンズとファインダーを収納できるようにしよ〜っと^^)

  3.安価に。
  ・たしかにちょっとは重くなるけれど、箱はホームセンターで販売しているシナベニヤ(12mm厚)はどこでも在庫あるし。
  ・ホームセンターのパネルソー(大型のノコギリ?)で切断してもらうと、かなり正確に切り出してくれるし....         
  ・トラスフレームはどうしよう?....アルミパイプもいいけれど、1本1730は高いなぁ〜(8本だと¥14k越えるじょ)     
  ・よし!いっそのことこうなったらトラスフレームも木材にしてみるかっ!!(ダメだったらあとで交換ね。^^)       
  ・「ふむふむ....910mmの杉材は....ををっ!1本180円!!!こいつは安い!                         

   「オール木製のドブは珍しそう!!  おもしろそうだから決定!

  4.あこがれの望遠鏡?

・15cmだと持ち運びもし易そうだしぃ〜、   
・星雲星団も惑星もそこそこ見えるしぃ〜、
・どこにでも連れていけるしぃ〜。      
・なにより自作!同じ物は二つと無い!!  
・お笑いもとれそう!?  (^^;  (実はいつも笑われています。)


かくして、木製のトラスフレームドブソニアンに挑戦することとなりました。
(あれまぁ〜勢いで主斜鏡セット注文しちゃったぁ〜)


●鏡を購入した以上は、もう後戻りできましぇ〜ん!必死こいて図面をひきました。

ううむ....ファインダーはどうしよう?(何を使う?買うか?)                  
ううむ....接眼部が鏡筒の外に飛び出るので、トップリングが収納できない!!(T.T) 
ううむ....耳軸はどうやって作ろうか....。ドブは耳軸が「肝」だから手抜きできん....。    
ううむ....ミラーボックスを持ち上げて、90°ひねってミラーボックスへ納め....       


うっ?これじゃ納まらない...(T.T)

ううむ....バランスは(耳軸の位置)はどこになるんだ?                   
(ええいっ!いっそのこと作ってから位置決めだぁ!どうにかなるさ。)




●とある夏の休日、ホームセンターにて。
「チュイィィィ〜〜〜〜〜ン、ジャ〜〜〜〜!」(パネルソーの音。)
「ジャガジャガ.....ブゥ〜〜ン」(糸のこ台の音。)

おおっ!!パネルソーって奴ぁ〜かなり正確に切れるんだな!  #こいつは使える!覚えておこう。(心の声)
よおし!自宅に帰って「トンテンカン」だぁ〜!接着剤塗りヌリぬり....紐で縛って締め上げて....トンテンカン!
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2週間後。
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よぉ〜し!鏡筒出来たぁ!ピント位置、ちゃんと出るかな?わくわく ρ(^o^)q 「きたぁ!ちゃんと見えるぅ〜!」
んで、耳軸を貼り付ける位置は何処になるんだろう????....ガカァ〜ン!!フレーム部分だ。どうしよう....
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9月27日(土)●納期....いや締め切り日....ちゃう、「完成のメドと設定した日」(とみた天体観測会の名月観望会)
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大部分を完成したけど、バランスが取れない。しゃねぇ〜(仕方ない)バラスト積むか....
(泣く泣く3Kgの鉄板を鏡筒下部に積む)


  そして、観望会の当日です。

2002年10月8〜11日の4日間、伊王島町星空観望会が無事に開催されました。(4日間とも晴れました。)
観望会の様子。
    
幼い子供さん(三歳)にはちとつらかったか....。

双眼鏡2台・13?反射赤道儀・BOX-DOB1580を使用し(スタッフ2名)で、二重星や
散開星団、月面を楽しみました。長崎市内では「長崎くんち」、町内では「IT教室」と、ふたつの行事が重なったにも
かかわらず、 参加者は4日間で延べ120名(人口991名)を数えました。
この観望会は参加者にはおおむね好評で、「次はいつ?」とも聞かれました。(ほんとに次はいつ?)
なかでも、参加者の中学生がBD1580(略称)で月を覗いた瞬間、「すっげえぇぇぇぇ!!!!」
と大声をあげたのにはちょっとビックリしましたが、製作者にとってはこれはこれで嬉しい声でもあります。(^^)/



     【 現在の姿 】
                (2003年1月現在)  撮影地:くまんたけ
      


収納時  全パーツです。
                         左からミラーボックス、トラス棒。右上から斜鏡・トップリング、
                         箱のふたにのせたファインダーassyとアイピース御膳、
                         トラスネジ御膳。

組み上げ完了。  簡易遮光カバー装着時

トラスカバー装着時          
                                 トラスカバーを装着して鏡筒前面より覗く。       

   斜鏡光軸修正部分 トップリング部分(斜鏡周り)  
 (真鍮丸棒より自作、スパイダーは0.4mm厚)   接眼部(ヘリコイド)は収納時に内側に装着するのです。^^;
スパイダー取付部分                収納時 

    ノブスター御膳  アイピース御膳とファインダーassy

      ミラーボックス背面に取り付けた
       『BOX-DOB 1580』&伊王島ロゴ
  


【 BOX−DOB仕様表 】

●観望時サイズ:298(幅)×250(奥行き)×1473mm(高さ)     ※突起部含まず
●収納時サイズ(本体):298(幅)×250(奥行き)×394mm(高さ) ※突起部含まず
●重量:約13kg                                            
●光学系仕様(笠井トレーディング扱い、天文ハウス「TOMITA」取り寄せ)        
 15cmF8(fl=1200mm)放物面主鏡 φ31mm斜鏡(直径比掩蔽率20.6%)
  ※主斜鏡ともに両面接着シートでセルに「貼り付け」
    斜鏡中心から焦点面までの距離 145mm
●真鍮0.4mm厚・羽型スパイダー                                
●使用接眼レンズ:                                          
         ・LE30mm ・LE18mm ・LE7.5mm(高橋)             
         ・PL32mm ・3枚玉2倍バローレンズ ・ネビュラーフィルター(笠井)
         ・PL22mm(ビクセン)                             
         ・miyauchi Er14mm(宮内光学)
●ファインダー:8倍×21mm正立(笠井)+1倍サイトファインダー(アルミパイプ)併用 




  【 感想 】


・できればカウンターウェイトは積みたくなかった。
 (マジックシートが外れてウェイトが足に落ちてくる。ゴルゴ13のように後ろに立つと攻撃されるのだ。)
・接地部分が一回り小さかったので、倒れそうになる。「おっとっと!!」
・回転部分の摩擦材にはテフロンを使用したので動きは滑らか。ベリーナイス!
・当たり前だけど、光軸は組み立てる度に合わせなきゃ。(面倒い T.T)
・収納時、コンパクト! でも、設置&撤収は「ネジ地獄」(16ヶ所)
・組立、撤収時に注目される。(あきれられてる)
・土星のカッシーニの間隙が、黒々とクッキリ!感動。
・月面はカリカリ、ピリピリ、ピントばっちり!
・低倍率でも、隅々までシャープ。

・でも、本当に作ってよかったぁ〜!!

  「BOX-DOB 1580」の今後。

  ・ファインダーの改良。
  【ちょっと暗いと評判。^^;(現在8×21正立)  個人的には好きなんだが....。】
  【ファインダーassy全体が重くならないように口径を大きくする手段を考え中。】

  ・足周りの改造
  【接地部分の径が小さめなので、たまに倒れそうになる....(T.T) 】

  ・......ちょこちょこと小改造(笑改造?^^;)していきます。。
  【ウケを狙わず、まっとうな改良をしましょう。^O^;A】

  ・微動装置は必要か?
  【あの〜?Or-7mmをもって横で待ってる方がいらっしゃるんですけど....】
  【これって基本的にドブソニアンなので倍率低い方が見易いのですが。かくいうわたくしもLE7.5を所有しています。】

  いつもシンデレラボーイの私は0時を過ぎると帰宅準備にかかります。(T.T)
  あっ、帰る時間がきました。では今からかたずけます。

それでは皆さん、さやうなら〜〜

       
                                スタコラサッサ........^^;


                              重量13Kgは、ちょっと重いかも.....(T.T)

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ten.@nagasaki